歌学の西行先生

 平安末期の歌僧・西行の歌はかろやかで、どことなくすきま風っぽいのが好きです。ぼくは勝手に先生って呼んでます。先生の私歌集『山家集』は重要なテキストブックのひとつなので、折にふれて開いていくつもりです。
 和歌の学びにいちばん効果的な気がするのは、気に入った歌を元歌にして、自分で作ってみることだといつも思っています。本歌取りのようにお行儀よく引用しなくても、「自分だったらここの句はこう詠むけどなあ」って、たといmisquoteでも最初は全然アリだと思います。
 というわけで、ここは『山家集』より習作の場。気が向いたら更新しますが、ホームに流してそのままになってしまうかもしれません。万事風向き次第です。

恋ひらるるうき名を人に立てじとて忍ぶわりなき我が袂かな

山家集・恋

恋ひらるるうき身は石になしはてて繁らば繁れ恋忘れ草

はるかなる岩のはざまにひとりゐて人目つつまでもの思はばや

その岩に生ふる松より見はるかす後の友世にありと知らなむ

おなじくは咲き初めしよりしめおきて人におられぬ花と思はむ

折られじと匂ふ先よりしめおくも散るをばえこそとどめざりけれ

川の瀬によに消えぬべきうたかたの命をなぞや君がたのむる

思ふなよ天の川瀬のうたかたはいつしか星の砂となる身を

住みわびて我さへ軒の忍ぶ草しのぶかたがたしげき宿かな

金葉集・雑、周防内侍

いにしへはついゐし宿もあるものを何をか忍しるしにはせむ

山家集・雑

忍ぶぐさ軒のつまさへ消え果ててかくと嘆くもおろかなる世を

 核にあめつち滅びなば、あはれをしのぶよすがだになからむ。