散文ではないですけれど、これもあげときましょう。punk百首の片割れ。友人と五十首ずつ出し合ってZINEにするつもりだったけど、ぼくの分がようやく出揃ったのは話が頓挫したずっと後だったというオチ付きです。ま、生きてゐればいろいろあるさね。見返すとめちゃくちゃ言ってるところも多いので、和歌ではなく狂歌として受け取っていただければ。
# 一
今日もまたいかにサボるか考へてあへて揺らるゝ各駅停車
# 二
人間をやめてあげるよその代わり鷲より高き神でゐさせて
# 三
大学の講義ふけては地下書庫の陰で『源氏』を讀みゐたりけり
# 四
働いて働いて働いて働いて働くブラック国家
# 五
残業代くれてやるから倍にしてはよかへせかしアフターファイブ
# 六
世界同時多発テヘペロしたあとであまねく銃に花を生けなむ
# 七
諦めやこころの向きを逆にして真の戦さへ向かふいさをし
# 八
じわじわとひらく格差に黙しつつ我はとりきむこころ汚なさ
# 九
咎むなよ性なきひとのことわざに我がうつし身の業(ごう)をこそ知れ
# 十
妻も子も甲斐性もなきわが身かなさてこそ行かめ無何有の郷
# 十一
代議制、選挙、政党どれもみな政治を茶化す道具なりけり
# 十二
一歩ずついつもの路をゆつくりと歩くだけでも世界や変はる
# 十三
括弧じつはあなたが神よ括弧閉じ括弧わたしも神括弧閉じ
# 十四
華やぎにブッ飛びけりなあり得んすサイバーパンク花魁道中
# 十五
容疑者を住所職業年齢で片す社会も被疑者にやあらん
# 十六
ジャンパーにくるまり酒を飲みながらベンチに浸る冬の夕暮れ
# 十七
飛び急ぐからすの声にせきあぐる思ひもあへずつく家路かな
# 十八
ベーシックインカムすらも行き過ぎて思ひのままの世に憩はばや
# 十九
花の美と鳥の自由にあくがれて此の世のすゑに歌を詠むなり
# 二十
AIが人を凌ぎし後にすら働き過ぐる日本人やも
# 二十一
生と死と裏表にはありながら取り返せないほどぞかなしき
# 二十二
あすなろは檜にならぬ楽しみを知らば知れとてさは名乗るらし
# 二十三
さき急ぐ同期の桜かへりみよ残るも散るに違ふものかは
# 二十四
目にみえぬ世界の穴をpinchしてぼくはスピるよ酒はなくとも
# 二十五
多数決が民主々義だと思つてるひとのこころにひそむ専制

# 二十六
宵越しの銭は持たざる粋狂の渡るゝ世こそ浄土なりけれ
# 二十七
Web3ブロックチェーン新しきセカイのカケラ拾い集めて
# 二十八 Fujii Kaze『満ちてゆく』より詠める
手に入るゝものに重りしみづからも軽むやことを手放せるとき
# 二十九 トランプ氏を詠める
pokerは下手でdoubtはお上手な道化まがいのthe President
# 三十 孔子のことばより詠める
天下、国、郷、家ならでたまきはるいのちのみこそおさめられけれ
# 三十一 東京一極集中を詠める
「密です」と言ひ続けてよあづま路の都ばかりに人は群れつつ
# 三十二
パンクつてパンツ食つてるやつ曰く噛めば噛むほど味や出るらし
# 三十三
まごころやいつも奥へと押しやられとかくこの世のいきづらきかな
# 三十四
どうしても仕事に生きる気になれぬぼくはビジネスディスライクかも
# 三十五
駆け込みはなくならないよ特急を望むこころの世にあるかぎり
# 三十六
誰しもがみんなフツウにあこがれて誰も普通に生きられぬ世か
# 三十七 Fujii Kaze『旅路』より詠める
まだ残る承認欲を根絶やしにするまで僕の旅路はつづく
# 三十八
ともすると生き急いでる僕のためゆつくり走る練習をしよう
# 三十九 TVドラマ『ひとつ屋根の下』(1993)の小雪さん(演:酒井法子)のセリフをうけて詠める
「うさぎって死んじゃうんだよ寂しいと」僕もうさぎに生まれたかったな
# 四十 ”選挙カーは公害”で詠める
選挙戦こころしずかに黙し居る候補者にこそ清き一票
# 四十一
ちはやぶる量子の海へ飛び込みてひとつひかりの世をしめさばや
# 四十二
サードアイふたつあればや真実も奥行きのある影となるべき
# 四十三 Fujii Kaze『満ちてゆく』より詠める
追はれにし玉座の傍でいつとても光をはなつ「愛」てふ言葉
# 四十四 首脳カイダンを詠める
このたびはこはきはなしをするためにはるばる集ふ各国首脳
# 四十五 「関税王、Greenlandご所望」を詠める
なぜにまた緑の土地をお求めで?さまでグリーンはお嫌いなのに
# 四十六
しなければならないことはしなければならぬことなど無いと知ること
# 四十七
ありのままで生きられるかは日本橋に全裸で立つてみれば分かるよ
# 四十八 AKB48をハウツー記事っぽく詠める
あなただけがこの世において別格と悟る48の方法
# 四十九 Fujii Kaze『青春病』より詠める
厨二から青き病を患ひて今も苦しむその後遺症
# 五十
なにひとつやりたいことのなき生も良きと思へる今日の夕暮れ